みなさんこんにちは!日本逆子治療協会の玉井です。以前にこのような質問を頂きました。こんな疑問にお答えします。
本文の前に
今回は最初にお伝えしたいことがあります。
これをお伝えすることが必ずしも妊婦さんのためにはならないということです。今回は鍼灸師の逆子ケアに、否定的な印象を与える可能性があります。
妊婦さんのためにならない理由は逆子の妊婦さんが逆子ケアを受けられなくなるからです。
逆子ケアをしている鍼灸院は少ないです。近隣にあってもひとつか多くてふたつくらいだと思います。その鍼灸院に対して不信感を感じてしまえば、受けたくても受けられないという状況になってしまいます。
これが必ずしも妊婦さんにとっていい状況だとは思えませんでした。なので、今までにもわかっていたことでも記事にしていませんでした。それでも、今回記事にしてお話ししようと思ったのは苦しむ人がとても多いからです。鍼灸院に通うのが辛かったという人がとても大勢います。
言わないことで逆子の妊婦さんが選択できる自由を奪うことになるかなと思い、今回はお話しすることにしました。
聞きたくない!という方はここで終わっていただけたら幸いです。
「妊婦さんが選択できる自由を奪う」ということについては、外回転術に対しても同じように思っています。
詳しくはこちら
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外回転術を願う母体の気持ちはエゴなのか?
外回転術を望むのは母体のエゴではありません。なぜなら、望むことは人の欲求であり、間違っていることではありません。まるで胎児の健康を考えていないという人がいたり、自分をそう責めてしまう人もいます。ですが、今悩んで記事を検索しているのは愛があるからです。
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鍼灸院での逆子のお灸が熱くて辛いのはやりすぎ
お灸が熱くて辛いとか火傷をする場合は、過剰な刺激(やり過ぎ)の可能性が高いです。逆子のお灸は熱くて辛いほどやらなくても効果はあります。
研究で行っているお灸
僕が知る限りの研究では火傷をするほどやっていません。僕の経験上でも火傷させなくても逆子は治りやすくなります。また逆子に対するメカニズムを考えれば熱くするほどの理由はないはずです。
なので、熱くて辛いとか火傷をする場合は過剰な刺激(やり過ぎ)の可能性が高いです。これは科学的な視点であって東洋医学の視点で言えば火傷をさせた方がいいと言える場合もあります。
その考え方を否定するわけではありませんが、それでも逆子は無理に治すものではないし、体調管理が難しい妊婦さんに火傷をさせる必要はないかなと僕は思います。また、血豆ができるほどのお灸はやりすぎかなと思います。
治療の方法については先生それぞれの考え方があり、妊婦さんの体調に合わせるものなので正解はありません。ですが、熱くて辛いとか火傷をするほどお灸をさせる理由を妊婦さんが理解していないのは問題です。
鍼灸院での逆子のお灸が熱くて辛いのは理解できないから
鍼灸院での逆子のお灸が熱くて辛いのは、火傷するからではありません。なぜ火傷をしなくてはいけないのかを理解できないからです。
例えば、病院に行った時に説明がないどんな効果があるのかわからない薬を飲みたいと思いますか?飲みたいと思わないはずです。その理由は飲むべき理由がわからず怖いからです。
そのように人はわからないことに不安を感じます。
理由がわからず火傷をするお灸は怖い
お灸も全く同じです。
- どうして逆子に効果があるのか?
- どうして熱い必要があるのか?
- どれくらいやればいいのか?
こんな理由でなぜ熱いのかがわからないと不安を感じます。妊婦さんは火傷をすることが嫌なわけではありません。
火傷は嫌ではない
例えば、逆子が必ず治るけど、1週間だるくてベッドから出られない。という薬があったら飲みますか?飲む人もいるはずです。なぜなら、必ず治るし1週間だるいだけだからです。
本当に1週間だるいだけなの?と疑問を持つ人もいるはずです。それもわからないから疑問を感じます。だから、先生がどんなリスクがあって、他の人はどんな状態で、それを飲むほどの理由があるのかなどの説明をしっかりとした上で『相談』をします。
お灸の場合も同じです。火傷をしてもいつかは治ります。なので、火傷するだけでいいならやってくれ!という人もいると思います。ですが、実際は火傷をすれば治るわけではありません。
本来は鍼灸師が火傷をする方が治りやすくなると思うなら、説明の上で妊婦さんと相談するべきです。なのに、説明をしないから逆子の妊婦さんはお灸や鍼灸院に不信感を感じます。
では、不信感を感じた妊婦さんは鍼灸院に通わないのでしょうか?
鍼灸院に信頼がなくても通い続ける
通わなくなる人もいますが、通い続ける人も多くいます。その理由は他に受けに行くことができないからです。
例えば、歯医者であれば他にも近隣にたくさんあるはずです。なので、他の歯医者で受診することができます。ですが、逆子ケアをする鍼灸院は多くありません。なので、もし不安を感じても他に行くことができず、不信感を抱えたまま同じ鍼灸院に通い続けることになります。
逆子の妊婦さんは熱くても通いたいと思っているから冒頭で頂いたような質問になります。熱くても治るなら通いたいんです。それくらい逆子の妊婦さんは逆子に不安を感じています。
「鍼灸院でお灸が熱すぎて辛かった」という本当の問題は熱いことが辛いのではなく『どうして熱くするのかを理解できないまま行われるのが辛い』ということです。
つまり【説明がないことが問題】ということです。
鍼灸による逆子ケアの現状
残念なことに、逆子ケアや逆子治療をうたっている鍼灸師の多くは全く治療ができていません。なぜなら、逆子のツボにお灸をするだけだからです。
東洋医学も西洋医学も治療は患者の状態に合わせてケアをするのが基本です。東洋医学でも舌を見たり、お腹を触ったりして状態を見てからたくさんあるツボから状態に合わせたツボを選びます(取穴)。
例えば、腰痛のツボはたくさんあるし、腰痛のツボだけではなく全体のバランスが良くなるようにツボを選びます。
これが逆子の場合は至陰と三陰交にお灸をするだけです。逆子のメカニズムを理解していないために、教科書に載っているツボにお灸をするだけになります。これは全く治療になっていません。
これはその人の状態を全く見ていません。『逆子だから至陰と三陰交』という先入観から妊婦さんを無視して、教科書に載っている文字だけで刺激しています。メカニズムを理解していないので、お灸をするべき強さも理解していません。
理解していないから説明もできないので、説明なく施術をする先生や鍼灸院が多く逆子の妊婦さんは安心して施術を受けられないことが多いです。
東洋医学で納得できる説明は難しい
また、東洋医学で説明をするのはとても難しいです。なぜなら、理解できない見えない世界のものだからです。
例えば、僕が「おばけって実はいるんです。」と言ったら信じられますか?多くの人は信じられないはずです。なぜなら、自分にはおばけが見えないからです。ですが、もしおばけに興味のある人であれば聞いてもらえるかもしれません。
東洋医学も同じで納得のできる説明をすることは難しいです。もし興味のある人であれば、説明することもできます。逆子の人の多くは東洋医学に興味がないのでとても難しいです。
逆子の妊婦さんは東洋医学に興味があるわけではありません。逆子を治したいだけです。できるなら病院で治療を受けたいけど、お灸が1番いいと言われているからすがる思いで鍼灸院に通っているだけです。そんな心理の妊婦さんに東洋医学の説明をしても信頼は得られません。
僕は鍼灸師で東洋医学の説明もできます。ですが、僕がしたい説明でも、できる説明でも、好きな説明でもなく、妊婦さんが納得できる説明をするために逆子を科学的に理解し科学的に説明をできるように心がけています。
西洋医学でも説明は受けられない
実際には鍼灸院だけでなく、病院でも説明を受けられないことが多いです。説明を受けられないことで不安になる人の心理を理解していない先生が多いからです。だから、逆子についての説明を産科ではほとんどされていないはずです。治ればいいと思っている人が多いですが、治っても不安は解消されません。
なので、東洋医学という性質から説明が難しく、説明の重要性を理解していない人がとても多いために【説明がない】という現状になっています。
治っても不安が解消されない理由については下記の記事で説明しています。
詳しくはこちら
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逆子に不安を感じる理由は【逆子の妊婦さんが〇〇だから】
みなさんこんにちは!日本逆子治療協会の玉井です。以前にこのような質問を頂きました。こんな疑問にお答えします。 逆子の不安を感じる理由 逆子に対する不安を感じる理由は『逆子が ...
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鍼灸院での理由なき火傷は怖い
病院などでも納得のできる説明がないととても不安を感じますが、東洋医学の非科学のものを説明なく受けるのはもっと不安を感じると思います。理由なき火傷ほど怖いものはありません。そして、この「鍼灸院でお灸が熱すぎて辛かった」というのは、お灸をされている時以外にも感じるようになります。
産後にもわだかまりを感じるようになる
それは産後です。産後もずっとわだかまりを感じるようになります。
- 本当にあれほど熱かったのには意味があったのだろうか?
- 帝王切開になった人は「あんなに熱い思いをしたのに治らなかった。」
とずっとわだかまりを感じるようになってしまいます。だから、説明はとても重要なんです。その説明を鍼灸師も産科でもしないし受けられても納得のできる説明ではないことがほとんどなのが現状なので、妊婦さんの不安を解消するために逆子の情報を発信しています。
わだかまりについては下記の記事で説明しています。
詳しくはこちら
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産後にも逆子にわだかまりを感じる理由は【〇〇な出産ではなかったから】
逆子の妊婦さんは出産後にも逆子にわだかまりを感じます。その理由は産前に逆子に納得をできずに出産になっているからです。わだかまりを感じるのが人の心理であり、逆子ではない妊婦さんも出産について何かしらわだかまりを感じるものです。それが逆子の場合は理解されないことが多いです。
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鍼灸院でのお灸が熱すぎる場合にできること
もし「鍼灸院でお灸が熱すぎて辛い」と思うなら、熱くする理由を聞いてみるべきです。納得のできる説明を聞ければ、熱いのにも納得できて辛い思いが軽減します。また、納得して施術を受けられれば産後にわだかまりを感じることもありません。
火傷をした場合は絶対に相談が必要です。なぜなら、痕が残るからです。痕が残ってでもやるべき理由を納得のできるように聞くべきかなと思います。
説明を受けられないと不信感が増す
ですが、納得のできる説明を受けられない場合は不信感が増して受けにくくなります。そして、多くの場合は納得のできる説明は受けられないと思います。
そうなると、妊婦さんが施術を受けられずに路頭に迷うことになるから記事にしていませんでした。また、鍼灸師を否定することになってしまうかなという理由もあります。
納得をした上での選択が不安を軽減させる
僕は発信する時はどんなことも誰のことも否定はしたくないと思っています。ですが、そうすることで正確な情報を妊婦さんが知ることなく不安を感じるのもあり、今でもとてもジレンマを感じています。
ですが、外回転術の記事で話しているように妊婦さんが選択をすることが大切かなと思っています。情報を得た上で納得をして鍼灸院に通い、自分で選択をすることが大切かなと思うので今回はお伝えしました。
妊娠生活も産後の女性としての人生でも、妊娠や出産に対する不安やわだかまりをなるべく減らせるような納得のできる情報を発信できたらと思っています。
そんな記事にできていたら幸いです。
鍼灸院以外で逆子を治すためにできること
それは自宅でのお灸です。僕は逆子の論文をたくさん読みます。誰よりも逆子を理解しているとは思いませんが、たぶん世界中の誰よりも逆子の論文を読んでいます。
その世界中の研究には『逆子を治すためにはお灸が最もいい方法』と結論づけているものがたくさんあります。それだけを聞いてお灸をしている鍼灸師がいたり、指導する助産師さんが多いですが、実はこれには続きがあります。
逆子を治すためにはお灸が最もいい方法。『なぜなら、安価でリスクなく安全に自宅で簡単にできるから』
自宅でやるのと鍼灸院でお灸をするのは全く効果が変わりません。自宅で行えば自分で熱さを調整できるため火傷することもありません。
また、お灸の効果だけでいえば自宅でやった方がよっぽど効果は高いです。なぜなら、頻度と回数が多いからです。週に1回鍼灸院に行くよりも、自宅で毎日やったほうが効果は高いです。
こんな理由から、もし鍼灸院で相談をしても納得できる説明を受けられずに不信感を感じて通いづらなら、自宅でのお灸がいいと思います。
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【日本逆子治療協会】逆子に対するお灸効果の科学的根拠(エビデンス)
逆子に対するお灸の効果には科学的根拠があります。鍼灸というだけで非科学のイメージがありますが、現代では鍼灸の多くを科学的に証明することができています。
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自宅で使いやすい!逆子のお灸におすすめの市販お灸
逆子におすすめの市販お灸は棒灸です。なぜなら、棒灸は効果が高いからです。実際に逆子に対するお灸の効果を見る多くの研究では棒灸を使っています。その棒灸の中でも最も自宅で使いやすい逆子におすすめの市販お灸はirodoriという棒灸です。
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逆子に対する効果が最も高くなるお灸の頻度は週に◯回
みなさんこんにちは!日本逆子治療協会の玉井です。以前にこのような質問を頂きました。こんな疑問にお答えします。 逆子のお灸の頻度 逆子のお灸の頻度の理想は毎日です。なぜなら、 ...
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さいごに
本来であれば、信頼できる先生のところで全身のバランスを整えてもらった上で、自宅で毎日お灸をするのがベストです。ですが、そうならないのが今の逆子ケアの現状で、無理して通って産後に後悔する人が多いのも現状です。
この記事で説明をして不安を感じる人もいたかもしれません。なので、最後は鍼灸院に通う以外の方法を提案させていただきました。説明をするだけして、それ以外の方法が結局わからず不安が大きくなるようなことがあれば、それも逆子の妊婦さんが辛い思いをするからです。
僕は普段さかごらぼを運営し妊婦さんに逆子についての情報を発信するのとは別に、日本逆子治療協会を立ち上げて施術をする人にも逆子について発信しています。
基本的には逆子の妊婦さんには情報をお伝えすることが1番かなと思っていますが、説明のない逆子ケアが妊娠中や産後の女性としての人生にも大きく影響を与えることを知っています。
そんなことを少しでも減らすために活動もしています。その活動から僕が日本逆子治療協会で発行する逆子ケアの資格を取得いただいた先生やサロンを掲載しているポータルサイトがあるので、もし近くにサロンがあれば連絡してみてください。逆子ケアのサロンを探す
逆子は全てを科学的に証明できているわけではありません。また、逆子はお灸やケアをしても治らないこともあります。そして、治らなくてもいいものだからこそ、産科で説明を受けられなかったり、頭位で経膣分娩をしたいという思いを言えずに1人で不安を抱える人がとても多いです。
逆子は治らなくてもいいものだからこそ、色々な価値観が生まれてしまうものです。
出産に対する思いはみんな同じです。母子共に健康で出産を終えられることが1番。だからこそ、帝王切開でも無事に終わればという思いと、経膣分娩がしたいという思いのはざまでジレンマに苛まれます。
僕は何かを否定するのは好きではありません。なぜなら、見えているものだけではなくその裏側には僕には理解できない理由が隠れている可能性もあるからです。
今回の記事も僕の経験からの先入観が前提で、多くの妊婦さんから悩みを聞いて妊婦さんのためになると思って作成しました。これが本当に妊婦さんのためになるかは今でも考えています。
これからも妊婦さんの不安を少しでも解消できるように、妊婦さんを考えながら活動していきます。