みなさんこんにちは!日本逆子治療協会の玉井です。以前にこのような質問を頂きました。こんな疑問にお答えします。
逆子の不安を感じる理由
逆子に対する不安を感じる理由は『逆子がどんなものかがわからないから』です。この質問も逆子がわからないから生まれた疑問だと思います。
なぜなら、人が不安を感じる理由はわからないから。
人が不安を感じる理由
人はわからないものに不安を感じます。わかるものには不安をあまり不安を感じません。
例えば、学校のテストがわかりやすいと思います。学校のテスト前ってすごく不安を感じると思います。あのドキドキを感じる理由はわからないからです。テスト勉強頑張ってしてきたけど、どんな問題が出るんだろう?と不安を感じます。
よーい始め!と言われて問題用紙を見れば、どんな問題が出るかわからないという不安は減ります。
知っていれば不安は感じない
わかっても不安を感じるでしょ!という人もいるかもしれません。それがわかりやすい例が過去問です。大学や専門学校になると定期テストの過去問が出回るようになると思います。過去問が回ってきてとても安心できたという経験がある人は多いはず。
過去問が出回ると安心できる理由は、問題を知ることでわからない要素が減るからです。
逆子がわからないから不安を感じる
逆子に不安を感じる理由も同じでわからないことが多いからです。
- 産科で逆子と診断を受けたけど、それって病気なの?
- 胎児に何か悪影響があるの?
- 逆子だとどうなるの?
- どうしたら治るの?
- 何かケアはあるの?
- 逆子体操がいいと聞くけど本当にいいの?
- 逆子体操でお腹が張るけど続けていいの?
- お灸が効くって本当なの?
- お灸ってどれくらいすればいいの?
逆子はわからないことだらけです。だから、逆子の妊婦さんは不安を感じます。
なぜ逆子がわからないのかをお伝えします。
逆子がわからない理由
逆子がわからない理由は逆子の説明を受けられないからです。産科では逆子は重要視されていません。なぜなら、逆子のままでも帝王切開で母子ともに健康で出産ができるからです。
そして、逆子はほとんどが自然に治ります。だから、説明もいらないということになります。
この現状があるために逆子の妊婦さんはとても不安を感じます。
「あなたは逆子です。また再来週の検診で。」とだけ言われて何の説明も受けられません。
僕がインスタグラムを通して色々な逆子の妊婦さん助産師さんに話を聞く限りでは、誰も説明を受けたことがないし説明をしている人に出会ったことはありません。
治らなくていいから説明はいらないのか?
逆子のままでも母子ともに健康で出産ができるというのは、説明をしなくていい理由になりません。
こうお伝えしても「いやいや、治らなくてもいいんだから説明なんていらないでしょ!」となることも多くあります。これは不妊治療を例に挙げるとわかりやすいとも思います。
不妊治療に病院に行ったときに「検査の結果、奥さんの卵子が少ないことがわかりました。タイミング方を続けましょう。また次の検診で。」とだけ言われることはありません。
【逆子は治らなくてもいいんだから説明はいらない】という価値観がまかり通ってしまうなら「妊娠しなくても人生は生きていけるんだから説明はいらない」とも言えてしまうかなと思います。そんなことがあっていいはずがありません。
治す方法がなければ説明はいらないのか?
他にも「逆子を治す方法はないんだから説明はいらない」となることもあります。ですが「治療方法がない難病であることが発覚したけど治す方法はないから説明はいらない」ということはありません。
治療方法がなくて治すことはできなくても、できることはたくさんあるからです。
しかも逆子の場合は治す方法はたくさんの研究で発表されていて、リスクなく治りやすくなることが証明されています。逆子体操には科学的根拠がなく、外回転術はとてもリスクが高いのに、リスクのないお灸を指導されることはほとんどありません。
『東洋医学だから何となく非科学』という先入観と逆子は治らなくてもいいという先入観から勉強されることがありません。
説明は『義務』
説明はとても重要で医療従事者の義務です。ですが、治らなくてもいいからという先入観から逆子の説明もいらないとされてしまっている現状があります。
その先入観のせいで、逆子の妊婦さんはとても不安を感じます。毎日ずっとネットサーフィンをして、逆子のことを調べ続けます。SNS時代でネットリテラシーがついてしまったことから、ネットの記事の信憑性が低いことも理解しているために、ネットの記事も信用できません。そのためにずーーーっとネットを調べ続ける毎日になります。
確かにそれでも統計上では診断を受けたうちの90%以上が自然に治るので、2週間後までに自然に治ります。ですが、その2週間は不安に苛まれます。
そして、自然に治らない約10%の妊婦さんは誰からも説明を受けることがなく、誰にも気持ちを理解されることもなく、1人で抱え込んでしまいます。
90%は自然に治るんだからと少数派の10%を蔑ろにしていいわけありません。
これは蔑ろにしているわけではなく、治らなくてもいいという先入観からそれでいいと思われてしまっている結果です。
今お伝えした「誰にも気持ちを理解されることもなく、1人で抱え込んでしまいます。」という理由をお話しします。
逆子の妊婦さんのジレンマ
逆子の妊婦さんは1人で気持ちを抱えることも多いです。その理由は逆子に悩む気持ちを誰にも理解してもらえないからです。
逆子の妊婦さんはとても強いジレンマに苛まれます。そのジレンマとは以下の2つから生まれます。
- 母子ともに健康で出産を終えられたら1番
- 経膣分娩をしたい
母子ともに健康で出産を終えられたら1番
逆子の妊婦さんも母子ともに健康で出産を終えられたら1番と重々理解しています。でも同時に経膣分娩をしたいと思っています。その理由は帝王切開が怖いから、経膣分娩を経験したいなど色々とあります。
もしこれが帝王切開でないと母子の命の危険に関わると説明を受けるような病気であれば「それならしょうがない」と納得をできることが多いです。ですが、逆子は病気ではないということから回転することができれば経膣分娩をできます。
回転できるようなことをしたい!けど誰も説明してくれない。ケアがあったとしても、それで胎児に何かあったら怖い。もし何かあるくらいなら帝王切開でもいいけど、経膣分娩の方がいい。とジレンマに苛まれます。
また、経膣分娩をしたいと思うことが『胎児のことを思っていない』という印象を受ける妊婦さんや周りの人が多く、そう願うことさえもいけないことなのかと悩みジレンマを感じます。
理解されないジレンマ
そしてこのジレンマを理解されないことも多くあります。実際に逆子の出産を経験したことない人、臨床に立つ助産師さんに話をすると「母子ともに健康で出産をできるんだから」と言われることも多いです。
妊婦さんは助産師さんから言われることはありませんが、家族から言われること、そう思われているような印象を受けることがあります。
「子供が産まれることが1番大切でしょ。」と言われた人もいます。
女性にとって出産とは人生における1番印象に残る経験になります。それぞれに理想の妊娠生活や理想の出産があり、それぞれ思い描くものがあります。子供が産まれることが1番大切なんてことは、母親である私が1番わかっていることです。だからこそ悩んでいるのにそれを理解してくれる人がいないととても悩みます。
そうなると先ほどお伝えしたように経膣分娩をしたいと思うことが『胎児のことを思っていない』という印象を受ける妊婦さんや周りの人が多く、そう願うことさえもいけないことなのかと悩みジレンマを感じます。
逆子に不安を感じる妊婦さんにお伝えしたいこと
そんなふうに悩んでいる人にお伝えしたいことは、そう悩んでいる人がとても多いということです。そして、逆子妊婦さんに関わり、誰よりもその気持ちを考えてきた僕は気持ちがよくわかるということです。
同じ人がいる。1人でも気持ちを知ってくれている人がいる。ということを知ることができれば知らないよりは安心できるかなと思います。
僕が普段逆子の情報を発信している理由は、これらの不安の原因である「逆子がわからない」ということを解消するためです。
僕も母子ともに健康で出産を終えられればそれが1番いいと思います。そのために逆子を治す必要はありません。ですが、知ることはそれとは関係ないと思います。
また先入観から逆子の妊婦さんを蔑ろにしてしまっている助産師さんに現状を知ってもらうために情報を発信しています。そもそも、産科の医療従事者が説明の重要性に気づいていれば逆子の妊婦さんが不安になることはないからです。
次に説明をすることで不安を解消できる理由をお伝えします。
逆子の不安を解消する方法
これは説明です。なぜなら、不安は結果ではなく説明でしか解消できないからです。
これも理解されないことが多いですが、子供病院に行って不安を感じていた僕の妻を例に挙げるとわかりやすいと思います。
子供が体調が悪くなって病院に行った時に「これは風邪だね。薬飲めば治るから。」とだけ言われたことがあります。もし結果が不安を解消できるのであれば、これだけで解消します。なぜなら、治す方法を知りその手段を得たからです。薬を飲ませれば改善するので飲ませれば治るので安心できるはずです。
ですが、この対応で妻の不安は解消されませんでした。なぜなら、説明がなかったからです。
病院に行く人の心理は治したいだけではありません。なぜ不調になったのかを知りたいという理由もあります。なぜ?がわからないと不安は残ります。そして、このなぜ?という疑問は説明でしか解消されません。
なので、逆子の妊婦さんの不安を解消するには説明することがとても重要になります。そして、次に重要なのは逆子のケアをすることです。なぜなら、何かをできている実感も不安を解消できるからです。
ケアをすることで不安を解消できる
テストの話を例に挙げましたが、『何かをできている実感も不安を解消できる』というのもわかりやすいと思います。
テスト前に勉強をするのは点数を取るからです。テスト前はとても焦ります。ですが、勉強をすることで焦りは減ります。何かをしているという実感は不安を減らすというのがわかりやすい例になります。
なので、逆子のケアを発信しています。僕は逆子のケアをするべきだ!という発信は絶対にしません。なぜなら、やらなくても母子ともに健康で出産をすることができるからです。ですが、不安を軽減するためには必要だし、求めている妊婦さんが大勢いるので発信しています。
発信をすることが僕のできることです。僕の知る全てを発信した上でやるかどうかは妊婦さんが選択をするべきと思っています。それには理由があります。それについては産後に感じる逆子に対するわだかまりについて書いた記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら
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産後にも逆子にわだかまりを感じる理由は【〇〇な出産ではなかったから】
逆子の妊婦さんは出産後にも逆子にわだかまりを感じます。その理由は産前に逆子に納得をできずに出産になっているからです。わだかまりを感じるのが人の心理であり、逆子ではない妊婦さんも出産について何かしらわだかまりを感じるものです。それが逆子の場合は理解されないことが多いです。
続きを見る
最後にそもそも逆子は治らなくていいものではないということをお伝えします。
逆子は治らなくていいものではない
「逆子のままでも帝王切開で産めるから帝王切開でもいい」というのが先入観の大元です。だから、説明をしなくていい、ケアをしなくてもいいとなっています。
この先入観には疑問があります。
【本当に帝王切開でもいいのか】?ということです。
帝王切開は素晴らしい医療です。帝王切開がなかった時には命の危険が伴うような経膣分娩をしなくてはいけなかったのに、安全に出産を終えられるようになりました。
ですが、経膣分娩と帝王切開のどちらがいいか?と産科の医療従事者に質問をすると「どちらか選べるなら経膣分娩の方がいい」という人がほとんどです。なぜなら、帝王切開には様々なリスクがあるからです。
- 次の妊娠をしづらくなる(不妊)
- 切ることによる内臓の癒着
- 産後の回復が遅い(経膣分娩に比べて)
- 産後うつになりやすい(経膣分娩に比べて)
他にも様々なリスクがあります。もちろんメリットもありますが、経膣分娩をできるのに理由がなく帝王切開を勧めることは基本的にはありません。(理由があれば別ですが)
それなのに逆子の場合はしょうがないとそのリスクに目を瞑ってしまいます。逆子はケアをすれば治りやすくなることが科学的に証明されているのにも関わらず、逆子は治らなくてもいいという先入観から勉強をすることも放棄しています。
人間は比べてしまうもの
人間の心理は、どんなことも必ず比べてしまうものです。逆子は病気ではなく帝王切開で安全に出産をすることができます。産科では色々な理由で出産にまで至れない人も多くいるし、他にも色々なことがあります。「産めない人もいるんだから、産めるだけで幸せでしょ」となってしまうこともあります。
他にも色々な価値観があります。
- 逆子は病気ではないけど、待合室には大勢の不調のある人がいるんだから
- 産科が足りていなくて病気ではないものに構っていられない
- その他色々
僕の言っていることが綺麗事と思う医療従事者も多くいると思います。僕は産科に勤めているわけではないので、逆子の妊婦さんだけを見て情報を発信しています。僕だからできることをして逆子の妊婦さんと向き合えたらと思っています。
これらのように先入観あるのが人間なんですが、先入観を持たずにひとりひとりと真摯に向き合うのが医療かなと思います。他の人と比べて人を見るのではなく、いま目の前で苦しんでいる人だけを見て真摯に向き合うことが大切かなと思います。
さいごに
僕の情報で逆子の妊婦さんの不安を少しでも解消できていたら嬉しいです。
きっと「逆子が治れば不安なんかなくなるでしょ!」という人もいるかもしれません。ですが、今の科学では治りやすくすることはできても、治らないこともあります。また、ほとんどは放っておいても自然に治るのが逆子です。
詳しくはこちら
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【高確率で逆子は治る!】逆子が治る確率は〇〇%
逆子が治る確率は高確率です。研究で発表されている数字を見ればわかります。治る確率が高い理由は胎児は回転するものだからです。回転することで常にくるくるしています。
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逆子が治る人、治った人は不安に思いません。自然に治らない人、治らず帝王切開に不安を感じている人にこそ寄り添うことが大切なんじゃないかなと感じています。なのでこの記事を書きました。
今回の記事の内容は産前の妊娠生活に不安を感じる話をしました。実は逆子は産前だけでなく、産後にはわだかまりを感じます。それはまた別の記事で書きます。
詳しくはこちら
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産後にも逆子にわだかまりを感じる理由は【〇〇な出産ではなかったから】
逆子の妊婦さんは出産後にも逆子にわだかまりを感じます。その理由は産前に逆子に納得をできずに出産になっているからです。わだかまりを感じるのが人の心理であり、逆子ではない妊婦さんも出産について何かしらわだかまりを感じるものです。それが逆子の場合は理解されないことが多いです。
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