みなさんこんにちは!日本逆子治療協会の玉井です。以前にこのような質問を頂きました。こんな疑問にお答えします。
産後に逆子にわだかまりを感じる理由
逆子で産後にわだかまりを感じる理由は納得をして出産を迎えていないからです。なぜなら、納得をしてないからわだかまりを感じるのが人の心理だからです。
納得ができれば蟠りは感じない
納得ができていればわだかまりを感じにくいし、納得ができていないとわだかまりを感じにくいです。
例えば、上司に怒られた時を例に挙げるとわかりやすいと思います。
「お前はとんでもないミスをしたんだぞ!」とだけ言われた時に、そのミスがどんなものかわかっていれば怒られるのも納得できると思います。なぜなら、そのミスの重大さがわかっているからです。
もし、どんなミスなのか理解できていない場合は、納得ができずわだかまりを感じるはずです。
だから、怒るのではなく『なぜダメなのか』の理由の説明が重要でそれをしっかりとしている上司が尊敬されます。これは子育ても同じです。怒鳴るのではなく、なぜいけないのか理由を説明すること、何かをした時にはなぜしたのかの理由を聞くことがとても重要です。
出産のわだかまり
出産に関する体験談で言えば、出産時に三陰交(安産のツボ)を強く押されたのが痛すぎたというものもあります。
なぜ陣痛がわからなくなるほど強く押されなきゃいけないのか?それが納得できないと産後にもずっとわだかまりを感じます。(強く押せば効くものではないので、助産師さんの知識不足かなと思います)
もし、強く押す理由を説明受けたら納得ができて産後にわだかまりを感じることはありませんでした。説明がなく理由がわからないからわだかまりを感じます。
逆子のお灸のわだかまり
逆子に関するもので言えば、鍼灸院でお灸をされて火傷をした例です。
鍼灸院では説明をせずにお灸をすることが多いです。そして妊婦さんが火傷をします。なんの理由もなく火傷をさせられるほど恐ろしいことはありません。ただの傷害と変わりません。
これももし、火傷をさせなきゃいけない理由の説明を受けられたら納得できていたはずです。(火傷をさせなくても逆子は治りやすくなるので鍼灸師の知識不足かなと思います)
産後に逆子に対してわだかまりを感じる理由は納得できていないから
これらの例から納得をできないとわだかまりを感じるということがよくわかると思います。逆子の妊婦さんはなぜ逆子なのか理由がわからないまま出産を迎えると、産後にもわだかまりを感じてしまいます。
このわだかまりが女性を強く苦しめることになります。
『なぜ逆子なのか理由がわからない』という状況になってしまうのかについては下記の記事に詳しく書いています。
詳しくはこちら
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逆子に不安を感じる理由は【逆子の妊婦さんが〇〇だから】
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産後にも逆子にわだかまりを感じ女性が苦しむ2つの理由
わだかまりが女性を強く苦しめる理由は2つあります。
- 何年もわだかまりを感じ続けるから
- 誰にも理解されないから
⑴何年もわだかまりを感じ続けるから
逆子に納得ができない限りはずっと続きます。
僕は逆子ケアをする鍼灸師や逆子の妊婦さんと関わる助産師さんなどに逆子の現状を伝えるために講座を行なっています。その講座には逆子で出産をした人に多く参加して頂いています。
僕の講座を受ける理由のひとつは「なぜ私は逆子のままだったのかを知りたい」というものです。
参加していただく人の中には、出産をしたのは何年も前という人がいます。つまり、何年経っても逆子について知り納得できるまではわだかまりは続いてしまっています。
なので、「あっ。私はだから逆子だったのか。」となるまではずっと続きます。
妊娠生活や出産の思い出は一生もの
女性にとって妊娠生活や出産の経験は一生残ります。
- 陣痛が痛すぎた長すぎた
- 助産師さんの対応が悪かった
- 食事が不味すぎた
- 出産後に部屋に来て「あ〜仕事疲れた」と言ったことは一生忘れない
- また女の子かと言ったことは忘れない
- 産まれた後に子供ではなく私にありがとうと言いに来てくれたことを忘れない
逆子に対する気持ちも一生もの
逆子の場合も色々な思いが残ります。
- なぜ逆子だったんだろう
- なぜ逆子体操をしても治らなかったんだろう
- 辛いと思いながら続けた逆子体操の時間はなんだったのか
- 泣きながら過ごしたあの時間はなんだったのか
妊婦が終わっても女性としての人生で何年もわだかまりを感じ続けるから強く苦しむということです。
次は誰にも理解されない理由をお伝えします。
逆子に対するわだかまりが誰にも理解されない理由
誰にも理解されない理由は、それが人間の心理だからです。
人は自分が同じ立場にならないと人の気持ちを理解することはできません。
例えば、親の気持ちを想像できても親にならないと理解することはできません。親になって初めて親の気持ちを理解できます。女性の気持ちを男性が理解することもできないし、男性が女性の気持ちを理解することもできません。
それが人間の心理です。
逆子の気持ちを理解できる人は少ない
逆子の妊婦さんの気持ちを理解できる人はとても少ないです。女性であって、妊娠をして、逆子になって、逆子のまま出産になった人にしか理解できません。僕が知る限りでは、産後にも逆子にわだかまりを感じている人に対して周りの陽tがこう思う人が多いです。
「もう出産は終わったし、無事に出産できたんだからいいじゃん。」
これはとても逆子の妊婦さんを傷つけます。気持ちを理解はできなくてもその人の気持ちを考えることはできるはずなのに、この言葉は気持ちをまったく考えていません。
わだかまりを感じたり、後悔をするのは終わったからです。終わってしまったから感じてしまうのがわだかまりや後悔です。なのに、終わったことなんだからと気持ちを考えない人がとても多いです。
終わったことなんだからというのがまかり通るなら、先ほどの出産に対する思いも同じです。
- 陣痛が痛すぎた長すぎた
- 助産師さんの対応が悪かった
- 食事が不味すぎた
「いやいや、陣痛が痛いなんてもう終わったことじゃん。」ともし旦那さんが言った日には、その家庭は崩壊します。これは誰にでも想像できると思います。(崩壊していない家庭があるならお嫁さんが凄すぎます)
ですが、逆子の場合は「もう終わったんだから」となってしまいます。その理由はきっと逆子が病気ではなく結果的に母子ともに健康で出産を終えることができているから。
人は人に対して結果を重要視する
人間は人に対しては結果を、自分には過程を大事にします。
逆子で産まなかった人は逆子の妊婦さんに対して「もう終わったことじゃん」となっていても、自分の出産に対しては「痛すぎた」とどんな出産だったのかを気にします。
他にも例を挙げるならお金持ちと綺麗な女性の結婚がわかりやすいかなと思います。
お金持ちの人と結婚した女性がいたら「どーせ金のためだろ」「あんなあざといのに騙されるなんて」とか色々理由を求めます。人には理由を求めますが、いざ自分が同じ立場になったら「お金持ちと結婚できた!」「かわいい女性と結婚できた!」とその結果に辿り着いた理由なんて気にしません。
これが人間の心理なのでしょうがないことだと思います。ですが、医療従事者はひとりひとりに寄り添うことがとても大切だと思います。
では寄り添うとはどういうことなのか。僕の価値観をお伝えします。
逆子の妊婦さんに寄り添うということ
寄り添うとは考えるということです。
先ほどお伝えしたように理解することはできませんが、考えることはできます。
僕には逆子の妊婦さんの気持ちを理解することはできません。僕は女性でもないし、妊娠できないし、逆子で出産することもありません。また、僕の妻も逆子で出産した経験はありません。ですが、ここまでの記事で逆子の妊婦さんに寄り添っている印象を受けていると思います。
それは僕が逆子の妊婦さんの気持ちを理解しているからではなく、逆子についてや逆子の妊婦さんの気持ちを誰よりも考えているからです。
僕は誰よりも逆子について理解しているなんて傲慢なことは思いません。ですが、世界中の誰よりも逆子のことを考え、誰よりも逆子の妊婦さんの気持ちを考え、誰よりも逆子について勉強している自負はあります。
誰しもが理解することはできないし、理解する必要はないと思います。ですが、真摯に向き合い考えることは重要で、それは必要なことだと思います。
産後に逆子にわだかまりを感じない2つの方法
最後に産後にわだかまりを感じない方法を2つお伝えします。
- 逆子について知ること
- 自分で選択をすること
ここまでにお伝えしたように、理由がわかって納得ができればわだかまりは感じません。なので、逆子について知ることがわだかまりを感じないために最も重要なことです。
自分で選択をすること
もうひとつが自分で選択をすることです。自分で選択をしなかった場合に後悔しやすいです。
例えば先ほど例に挙げたものがわかりやすいと思います。
- なぜ逆子体操をしても治らなかったんだろう
- 辛いと思いながら続けた逆子体操の時間はなんだったのか
「逆子体操をする理由はわからないし辛いけど、指導をされたからやっていた」という場合は後で後悔しやすいです。他にも外回転術です。リスクがあるからやめた方がいいと周りの人から言われたからとやらなかった時に、後でやればよかったと後悔しやすくなります。
自分で選択してない場合は納得しにくいのに対して、自分で選んだ場合は納得しやすいです。なぜなら、自分で選んでいるから。
自分で選んだ場合は自分の選択に責任を持つことができます。ですが、自分にない場合は「なぜあの時にあの人は」「なぜ先生は指導してくれなかったんだ」と指導した人や声をかけた人に対してネガティブになります。
そうなってしまうとわだかまりや後悔を感じやすくなります。
こんなことから、自分で選ぶべきだと思います。出産や妊娠は多くの人に影響を与えるし、妊婦さん1人ではできません。ですが、その妊婦さんの出産であり、妊娠です。どんなものも同じですが、自分で選択をできるといいかなと思います。
そのためにはまず逆子について知る必要があるんですが、それがないために選択肢がなくわだかまりや後悔を感じやすいのが現状です。
僕が逆子の情報を発信する理由
そんな妊婦さんのために僕は情報を発信しています。僕が思う逆子ではなく、科学や統計などをありのまま伝えるように心がけています。その情報から妊婦さん自身で選択をしてもらえたら1番いいかなと思います。
逆子体操は科学的根拠がありませんし、外回転術はハイリスクとされています。今の産科ではほとんど説明されませんが、僕は知る全てを説明しています。
その理由は僕に妊婦さんの選択肢を奪う権利はないと思っているからです。
説明は医療従事者の義務です。全てを説明した上で妊婦さんが選ぶのが1番です。
- 逆子体操にはなぜ科学的根拠がないのか
- 逆子体操は科学的根拠がないのになぜ今でも広く知られているのか
- 外回転術はどれくらいハイリスクなのか
出産と妊娠に関わる全ての人が母子ともに健康な妊娠生活を送り、健康に出産が終わることを祈っています。ですが、妊娠生活も出産も妊婦さんが行うものです。
理想の妊娠生活も出産もありません。それぞれが思う理想があるだけです。妊婦さんそれぞれが違う理想を持っているし、医療従事者には安全性からの観点もあります。どんな価値観も素敵なものですが、最も大切なことは妊婦さんの気持ちかなと思います。
体も心も大切
もちろん、妊婦さんの気持ちだけでなく、母体や胎児の健康面も大切です。だから、ただ妊婦さんの気持ちだけを見るのではなく、全てをお伝えした上で相談することが大切だと思います。
病気の場合は、説明を受けた上でどのような治療をしていくのかを相談することができます。逆子の場合は、説明を受けられないし相談することもできません。
こういったことをひとつひとつしっかりと考えて、目の前で悩み不安を感じている妊婦さんと真摯に向き合うことが大切かなと考えています。
そして、先入観をなくして逆子の妊婦さんを蔑ろにしない医療従事者が増えれば、逆子に対して産後にもわだかまりを感じる妊婦さんは減るかなと思います。