専門家が教える逆子が治る3つの条件

【逆子が治る3つの条件】条件は週数と診断を受けた時期と母体の〇〇

たまいたかあき

鍼灸による逆子治療を9年間 l 独自の研究で逆子治療を確立 l 鍼灸師/柔道整復師 l 逆子の正確な情報を伝えるために逆子の科学と統計を発信 l 逆子治療は千葉県で行っています。

みなさんどーもこんにちは!さかごらぼの玉井です。以前にInstagramでこのような質問をいただいたのでそれにお答えします。

逆子が治りやすい条件

今回の記事の根拠には世界中で発表されている論文があります。逆子には科学的根拠がないとされていますが、発表されている研究や論文はたくさんあります。Google scalarで「breech(逆子)」と検索すると約10万件もヒットします。それにプラス僕が逆子治療をした約200例のデータを基にお伝えしていきます。

 

逆子が治る条件とは?

逆子が治る条件3つ

まず始めに、逆子が治りやすい条件3つをお伝えします。

  1. 疲労が少ない
  2. 来院した週数33週以前(逆子治療を始める週数)
  3. 逆子になってから2週間以内

 

逆子が治る条件を確認するチェックリスト

これらは僕が作成したチェックリストで簡単にわかります。なので、僕が直接みなくてもある程度逆子が治りやすいかどうかがわかります。

僕が3つを逆子が治りやすい条件にした根拠を統計を紹介しながら説明していきます。

 

❶ 疲労が少ないことが逆子が治る条件になる根拠

まず最初は、“疲労が少ない”ことが逆子が治りやすい条件の理由についてです。今回のシリーズで、疲労が逆子が治りにくい大きな要因になるとお伝えしました。それは母体の疲労が強いほど胎動が減り、子宮の血流が悪くなり胎児が回りにくくなるからです。

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疲労が少ないほど逆子は治りやすい

なので、疲労が強いほど治りにくく、疲労が少ないほど治りやすいです。疲労や疲労感については科学的に証明されていません。数字ではっきりと測れるものではありません。ですが、僕なりに逆子の妊婦さんが疲労をしているか測る基準があります。それが疲労症状です。

疲労症状があるかどうかで疲労は計れる

症状があるかどうかで、妊婦さんが疲労しているかを測っています僕は疲労症状をこりや痛みの症状(肉体疲労)と自律神経の乱れの症状(精神疲労[ストレス])に分けています。こりに関しては、自覚があるか無自覚かは問いません。

自覚があるかどうかは関係ない

たまに誰が触ってもわかるくらいカチカチにこりかたまっているのに「私はこったことがない。」という人がいますが、自覚がなくても疲労をしています。

逆子の妊婦さんは胃腸の不調と睡眠障害が多い

自律神経の乱れの症状は色々とあるんですが、特に胃腸の不調や睡眠障害が多いです。吐き気、嘔吐、胸焼け、胃もたれ、眠れない、何回も起きてしまう、眠りが浅いなどです。つまり後期つわりです。さきほどお伝えした、僕の逆子が治りやすいかをみるチェックリストは、今までに来院した逆子が治りにくい妊婦さんに共通していた疲労症状をリストにまとめているものです。

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後期つわりは逆子が治りにくい

この疲労症状のうち、自律神経の乱れの症状があると特に逆子は治りにくい傾向にあります。その理由は、自律神経を整えるのは時間がかかるからです。こりや痛みは比較的改善しやすく、自律神経の方が時間がかかります。なので、逆子治療をしていても、最初にこりや痛みが改善してから胃腸の不調や睡眠障害が改善していきます。

逆子が治らない妊婦さんの疲労症状

僕のところへ来院した逆子が治らない妊婦さんの疲労症状をまとめた統計があります。

逆子の妊婦さんの自律神経が乱れているグラフ

このように逆子が治らない妊婦さんの多くに自律神経症状があります。僕が主張する母体の疲労が逆子に影響するというのは、科学的にされた研究の結果を見てもわかります。

逆子が治らない条件の研究

筑波技術大学大学院で発表されている論文の中で、妊婦さんの症状について調べています。*参考文献(1)
その中では首肩こり、腰痛、頭痛、めまい、冷え、むくみなどの疲労症状の項目があり、そういった項目に当てはまらない妊婦さんは逆子が治っている確率が高かったそうです。僕の統計からも、研究結果からもわかるように疲労は少ない方が治りやすく、症状が出ていない方が治りやすいです。

❷ 来院した週数が早いと逆子が治る条件になる根拠

逆子が治りやすい条件“33週までの来院”

僕がとっている統計上、33週までに来院した妊婦さんは治る可能性があります。来院した週数が34週を超えていると逆子は治りにくくなります。その理由は34週を超えると、お腹のスペースがなくなってしまうからです。

羊水が減るため逆子が治りにくくなる

今回のシリーズの最初の記事【逆子とは何か】逆子とは骨盤位のことです。この記事を見れば逆子の全てがわかります。でお伝えしたように、羊水は31週から減り始めます。なので、31週以降はどんどん逆子が治りにくくなっていきます。また、早い週数で来院できれば、疲労が強くても改善する時間があります。ですが、遅い週数だと疲労を改善する時間がなく、胎動が増えてもスペースがないことがおきます。

疲労の強い34週の妊婦さん

例えば、34週で来院した妊婦さんの疲労が強くて、その疲労を改善するのに3週間かかったとします。少しづつ疲労が改善していき、それに比例して胎動が増えます。3週間後の疲労が改善した時には、

  • 胎動をほとんど感じられなかった人が、1日中感じるようになる
  • 冷えて眠れなかった人が、火照って眠れないくらい体温に変化が出る
  • 寝付きが悪かったり眠りが浅い人が、ぐっすり眠れるようになる
  • 吐き気・胸焼け・胃のむかつき・嘔吐をしてしまっていた人が、それに苦しまなくなる
  • 夜寝ていても、胎動で目が覚めてしまうほど胎動が増えます。

改善しても既にスペースがない

これくらい、色々な体調不良が改善します。そして、母体がはっきりと胎児の胎動の感じが変わっているのを感じられるようにもなります。それだけ変化していても、34週から3週間経ってしまえば、37週です。早ければ早いほどスペースが残っているし、疲労があってもそれを改善する時間があるので治りやすいです。

疲労があるからずっと逆子が治らない

34週を超えてから始めると、時間が足りず動けるようになった時にはスペースがなくなってしまいます。34週まで逆子が治らなかったほぼ全ての人に疲労があります。疲労があるから胎動とスペースが減り34週まで逆子が治りにくかったとも考えられます。

週数が遅いほど逆子は治りにくくなる

これも先ほど紹介した研究でも調べていました。その研究では28週〜31週と32週〜35週までを比べると、32週〜35週の方が治りにくかったとあります。僕の場合は週数ごとに分けて調べていますが、34週を超えてから逆子治療を始める場合は治りにくい傾向になります。ただし、治らないわけではありません。

来院週数別逆子が治りやすい確率

 

❸ 逆子の診断からの期間が短いと逆子が治る条件になる根拠

3週間以内は逆子が治りやすい

逆子になってからの期間は短ければ短いほど治りやすいです。なぜなら、逆子になるスペースと胎動があると言うことは、逆子が治るだけのスペースと胎動があるからです。僕の統計では診断を受けた日から3週間以内であれば今のところ約85%治っています。

産科で診断を受けてから来院するまでの週数別、逆子が治る確率。

逆子になれるだけの胎動とスペースがあれば、逆子が治るだけの胎動とスペースがあるはずです。逆子のまま時間が経過すると、逆子のままどんどんスペースがなくなります。なので、時間が経つほど治りにくくなります。僕の統計上、診断を受けてから3週間以内だと治りやすいです。

診断からの帰還が長くても逆子は治る

ですが、それ以上だと治りにくくなるわけではありません。ずっと逆子だという妊婦さんも来院しますが、それでも治っています。このずっと逆子でも影響しないというのは何かの論文で読んでいますが、どの論文で読んだのかは忘れてしまいました、、ただし、治る確率で言えば逆子の診断を受けてすぐの方が圧倒的に治りやすいです。

 

逆子が治りやすい3つの条件の矛盾

遅い週数に逆子の診断を受けた場合の条件

ここまでに、逆子が治りやすい3つの条件をお伝えしました。この3つの条件の中で、矛盾が生まれることがあります。それは34週以降に逆子の診断を受けてすぐに来院した人です。先ほど、34週を超えると治りにくくなると説明しましたが、遅い週数で診断を受けた場合は34週を超えてから来院しても多くが治ります。

遅い週数に逆子の診断を受けた場合の逆子が治る確率

 

遅い週数の診断が逆子が治る条件になる理由

僕の統計では33週以前は逆子じゃなかったのに、34週以降になってから逆子の診断を受けた妊婦さんは85%が治っています。遅い週数で逆子になった場合、すぐに来院していただけることが多く、スペースが残っているので治りやすいです。

実際にあった逆子が治った具体例

例えば、今までに実際にいた妊婦さんの例に出すと、35週で逆子の診断を受けた、現在36週の逆子の妊婦さんが以前に来院しました。すでに36週でスペースが減っていて治りにくい感じがするように思えますが、逆子の診断を受けたのは35週です。つまり、35週になっても逆子になれるだけのスペースがあるということです。ということは、36週の今でも治るスペースが残っていることが考えられます。

37週に逆子が治った!

実際に無事に37週に治りました。こういった遅い週数に診断を受けて来院した人は今までに何人もいましたが、先ほどお伝えしたように多くの逆子は治っています。ここまでに話したものが僕が考える逆子がなおやすい3つの条件になります。実は3つの条件を満たしていなくても、逆子が治りやすくなる例外の条件があります。最後にそれをお話しします。

 

逆子が治る例外の条件

逆子が治る例外の条件は“経産婦”

逆子が治りやすくなる例外の条件というのは、経産婦さんです。どんだけ疲労をしていて週数が遅くて診断から時間が経っていても、経産婦の場合は治りやすいです。それも産んでいれば産んでいるほどです。ここで僕がしている逆子治療の統計を紹介します。これをみればわかると思いますが、産めば産むほど治りやすくなります。4人目と5人目は症例が少ないですが、今のところは100%治っています。

産んだ回数別逆子が治る確率

経産婦が逆子が治る条件になる理由

その理由は科学では解明されていませんが、証明されていることや事実を加味して、僕は子宮の軟性が関わっていると考えています。経産婦さんは一度子宮が大きくなり、出産を通して強く収縮もします。そういった子宮の強い伸び縮みが影響して子宮が柔らかくなり、逆子が治りやすくなるんだと思います。

経産婦が逆子が治る条件になる根拠

この経産婦さんの逆子は治りやすく産むほど治りやすいというのは、ワシントン大学の研究でも発表されています。*参考文献(2)
論文でも発表されているし、僕が実際に逆子治療をしていても経産婦さんは圧倒的に逆子が治りやすいです。だから、逆子が治りやすくなる例外の条件として経産婦さんを挙げました。

 

まとめ

簡単にまとめると、逆子が治りやすい3つの条件とは、

  1. 疲労が少ない
  2. 来院した週数33週以前(逆子治療を始める週数)
  3. 逆子になってからの期間が2週間以内

逆子が治りやすくなる例外の条件があり、その条件が経産婦さんです。ということです。

 

逆子が治る条件で大切なこと

重要なことは、この条件に当てはまらないから治らないというわけではないことです。冒頭でお話ししたように、基本的にはほぼ全ての逆子が自然に治ります。それは何週になっても可能性はあります。

今回の3つの条件は“逆子が鍼灸による逆子治療で治りやすい条件”として紹介しています。もし、逆子でも基本的には自然に治るので不安に思うことはありません。ですが、治らないかもしれないと不安に感じるなら、早めに鍼灸による逆子治療を受けることをオススメします。

鍼灸で逆子が治りやすくなることは科学的に証明されています。それに関してはYouTubeを見てみてください。

 

参考文献

1)辻内敬子, et al. "骨盤位に対する鍼灸治療の効果の検討 鍼灸治療開始までの期間が矯正率に与える影響." 全日本鍼灸学会雑誌 67.1 (2017): 56-63.

2)Rayl J, Gibson PJ, Hickok DE. A population-based case-control study of risk factors for breech presentation. Am J Obstet Gynecol. 1996 Jan;174(1 Pt 1):28-32. doi: 10.1016/s0002-9378(96)70368-x. PMID: 8572022.

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