帝王切開だと胎児はアレルギーになりやすい?

帝王切開は自然分娩に比べてアレルギーになりやすい確率は〇〇倍。

たまいたかあき

鍼灸による逆子治療を9年間 l 独自の研究で逆子治療を確立 l 鍼灸師/柔道整復師 l 逆子の正確な情報を伝えるために逆子の科学と統計を発信 l 逆子治療は千葉県で行っています。

みなさんどーもこんにちは!さかごらぼの玉井です。以前にInstagramでこのような質問をいただきました。この記事は5つの論文をもとにお伝えします。

 

帝王切開だとアレルギーになりやすいと聞きました。本当ですか?

 

今回の記事の根拠には世界中で発表されている論文があります。逆子には科学的根拠がないとされていますが、発表されている研究や論文はたくさんあります。Google scalarで「breech(逆子)」と検索すると約10万件もヒットします。それにプラス僕が逆子治療をした約200例のデータを基にお伝えしていきます。

 

帝王切開だと胎児は
アレルギーになりやすい?

帝王切開だと胎児はアレルギーになりやすい

帝王切開だと食物アレルギーになる確率は、自然分娩に比べて高くなります。5つの論文のうち4つは帝王切開だと食物アレルギーになる可能性が高かったとあります。*参考文献(1)(2)(3)(4)

1つは生後一年後を比べても差はなかったとあります。*参考文献(5)

もちろん、これ以外にもたくさんの記事や論文を読んだんですが、ほぼ全てが帝王切開だとアレルギーになる確率は“自然分娩に比べて”高かったとありました。

逆子の研究をしている先生

帝王切開は7倍アレルギーになりやすい

ノルウェーの研究では7倍、デンマークの論文では、帝王切開は食物アレルギーを1.32倍、アレルギー性鼻炎を1.23倍、気管支喘息を1.18倍、気管支喘息による入院を1.21倍増えたとしています。どのアレルギーでも帝王切開による増加は全体の1-4%程度だったようです。ある記事には20%も差があったという論文もあると書いてありました。

 

100万人比べて帝王切開はアレルギーになりやすい

帝王切開とアレルギーの関係を調べたスウェーデンの研究

スウェーデンの論文では、100万人を13年間にわたって調べたものでした。その研究は帝王切開はアレルギーになりやすかったとしています。

帝王切開はアレルギーになりやすい

多くの論文、帝王切開は自然分娩に比べてアレルギーになりやすい事実があります。なので、自然分娩に比べたら帝王切開の方が食物アレルギーを発症するリスクは高いです。

 

帝王切開で胎児が
アレルギーになるメカニズム

帝王切開でアレルギーになるメカニズムはわかっていない

メカニズムはまだわかっていないようです。ですが、帝王切開で出生した胎児の腸内細菌は新生児期に腸内細菌叢のバランス異常を起こすことが報告されています。産道を通る時に膣内の細菌に胎児が触れることで免疫がつくと考えられています。そして、この腸内細菌のバランスはアレルギーに影響します。これがアレルギーを発症するリスクになるかは研究中です。

研究ではアレルギーの全てを精査できない

こうして調べる上でとても重要なことがあります。それは、研究の性質上、全ての可能性は精査できないと言うことです。また、メカニズムはわかっていません。事実があることとメカニズムがわかっていないことを念頭におくべきです。

研究対象はみんな生活環境が違う

例えば、アレルギーのリスク因子はたくさんあります。それらを排除しきれるかというとできません。つまり、帝王切開がどれくらい影響するかを正確に調べられないと言うことです。遺伝も、生活環境などの要因も含まれてしまいます。
遺伝も、生活環境も全てが違います。“アレルギーが発症した”とわかった時に調べても、みんな生活が違うので正確にはわかりません。つまり、帝王切開がどれだけ強く影響するかはわからないということです。

逆子に至陰が効く根拠と同じ

逆子に至陰が効く根拠も同じです。至陰にお灸をした人と至陰にお灸をしなかった人を比べると至陰にお灸をした方が逆子は治りやすいです。どんな環境の人にしても同じです。ですが、メカニズムはわかっていません。また、他のツボ全てを調べられているわけではないので、実際には逆子に1番効くツボが至陰とは限りません。

 

帝王切開とアレルギーの関係を表す科学的根拠

帝王切開とアレルギーの関係は完全にはわかっていない

エビデンス(科学的根拠)と聞いて、研究されてメカニズムが解明されたことをイメージする人は多いと思います。ですが、そんなことはありません。今回のも1倍〜7倍、20%と差があるのは、統計の取り方に差があるからです。研究で発表されていればエビデンスがあると言えますが、メカニズムは解明されていないことは重要です。だからこそ、ひとつの論文ではなく、様々な論文から考察する必要があります。

帝王切開と自然分娩の比較

ですが、比べてみたらアレルギーを発症していたのは帝王切開の方が多いという事実はあります。ここまで調べて考察した上で、アレルギーに関してはもっと大事なことがあるんじゃないかと思いました。妊婦さんにとって1番重要なことは“何が1番アレルギーを発症しやすいのか”だと思うからです。それも改めて調べました。

 

帝王切開以外のアレルギーの
リスク要因

生活環境が大きく影響する

アレルギーの発症は多くのリスク要因があります。もし、帝王切開により産道を通らなかったことで“腸内環境のバランスが乱れているから”発症しやすくなっているんだとしたら、生活環境の方が強く影響するんじゃないかなと僕は思います。なぜなら、腸内環境のバランスは生活に強く影響されるからです。

 

アレルギーに影響する遺伝や生活環境

例えば、疲れた時に蕁麻疹が出たことがある人は多いと思います。疲労することでアレルギーが出ています。それは生活環境が影響しています。他にも、アトピーも同じです。疲労が増すと強く出るようになります。疲労が少ないと症状が緩解します。

授乳をする逆子の妊婦さん

アレルギー発症にも生活要因が影響する

そのように、少なくてもアレルギーに生活環境が影響しています。そして、これらは発症にも影響するようです。帝王切開は自然分娩に比べて少なからずアレルギー発症に影響しますが、それ以上に生活環境の方が強く影響するのかなと僕は思います。

詳しくは下記記事がわかりやすいので気になる方は読んでみると良いと思います。医療従事者向けのようですが、一般の方にもわかりやすいです。

一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2022ダイジェスト版

 

帝王切開であってもアレルギーのほとんどは改善する

重要なことは、基本的にはアレルギーは6歳までには良くなると言うことです。そこまで心配する必要はないと思います。また、発症しても症状を改善する方法はたくさんあります。ですが、できることは何かしたいと思うのがママですね。

 

逆子で帝王切開になるのを防ぐ方法

帝王切開を避けたいならお灸が1番

少なくても帝王切開は自然分娩に比べたらリスクが高い事実はあるので、なるべく帝王切開にならないようにできると良いと思います。帝王切開になる理由の多くは逆子ではありません。ですが、もし逆子なら、逆子が治るようにできることなら僕はお伝えできます。

逆子のままで帝王切開にならないためには鍼灸を受けるかセルフケアがいいです。これはアレルギーにも効果があります。ぜひやってみてください。詳しくはYoutubeで話しています。

 

まとめ

簡単にまとめると、帝王切開はアレルギーの発症リスク要因になります。多くの論文がそう示唆しています。帝王切開は腸内細菌のバランスを崩すことはわかっていますが、自然分娩に比べてアレルギーが多いメカニズムはわかっていません。それでもアレルギーの多くは6歳までによくなるので心配はいらないと思います。もし帝王切開を避けるために逆子を治したいなら、鍼灸やセルフケアをやってみてください!

ということです。

 

参考文献

1)Gao X, Yan Y, Zeng G, Sha T, Liu S, He Q, Chen C, Li L, Xiang S, Li H, Tan S, Yan Q. Influence of prenatal and early-life exposures on food allergy and eczema in infancy: a birth cohort study. BMC Pediatr. 2019 Jul 17;19(1):239. doi: 10.1186/s12887-019-1623-3. PMID: 31315604; PMCID: PMC6636159.

2)Mitselou N, Hallberg J, Stephansson O, Almqvist C, Melén E, Ludvigsson JF. Cesarean delivery, preterm birth, and risk of food allergy: Nationwide Swedish cohort study of more than 1 million children. J Allergy Clin Immunol. 2018 Nov;142(5):1510-1514.e2. doi: 10.1016/j.jaci.2018.06.044. Epub 2018 Sep 10. PMID: 30213656.

3)Eggesbø M, Botten G, Stigum H, Nafstad P, Magnus P. Is delivery by cesarean section a risk factor for food allergy? J Allergy Clin Immunol. 2003 Aug;112(2):420-6. doi: 10.1067/mai.2003.1610. PMID: 12897751.

4)Bager P, Wohlfahrt J, Westergaard T. Caesarean delivery and risk of atopy and allergic disease: meta-analyses. Clin Exp Allergy. 2008 Apr;38(4):634-42. doi: 10.1111/j.1365-2222.2008.02939.x. Epub 2008 Feb 11. PMID: 18266879.

5)Currell A, Koplin JJ, Lowe AJ, Perrett KP, Ponsonby AL, Tang MLK, Dharmage SC, Peters RL. Mode of Birth Is Not Associated With Food Allergy Risk in Infants. J Allergy Clin Immunol Pract. 2022 Aug;10(8):2135-2143.e3. doi: 10.1016/j.jaip.2022.03.031. Epub 2022 May 18. PMID: 35597762.

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